無に帰るとき         代表 松尾 倶子

刀坂成子先生と松尾代表
刀坂成子先生と松尾代表

 2009年も押しせまった12月のある日、「どうしてもあなたを連れて行きたいところがある。明日、1日時間を作らんね。」「携帯も何も持ってこんで!」との刀坂先生からの突然の電話で、次の日、朝10時に約束の場所へ。巷の喧騒から離れ、平日のせいもあってか人の気配さえ感じない広い温泉。
まさか福岡市内に天然温泉でこんなに静かな空間があったとは、想像もしていませんでした。
 ゆっくり温泉に入り、食事、休憩と時間の止まった感じです。先生の電話の言葉の真意がわかり、まるで今の私の心はお見通しの感じでした。
 先生の言われる「第一に良き師、第二に良き友、そして第三に良き書に出会うこと」。露天風呂で夜空の星を探しながら、休憩の時、食事の時と、先生の生まれ育った長崎の話、40数年かかわっている「福岡自然食の会」に出会った経緯、そして今一番とりこになっている本、司馬遼太郎「坂の上の雲」の解説。明治という時代に生きた秋山三兄弟、朝鮮半島と陸奥宗光のかかわりの話が続く。今、良き書に出会い、次の展開を考えるとワクワクしてくると言われる。数十年前、何度も手術を乗り越えられたとは思えない、あの毅然とした小さな身体(失礼)の先生の
どこから漲る情熱が生まれるのか。何事にも動じない姿勢は、感嘆そのものです。次回は足をのばし、1泊の旅の約束をして、先生と別れたのは夜の11時近く。12月は先生にとって講演・教室と超ハードの時にもかかわらず、全く無に帰ることができた貴重な時間、至福の時を与えていただき、感謝の思いでいっぱいでし。
 早いもので青葉の会は、今年で7年目に入ります。私自身、代表という立場にありながら、地にしっかり足が着いていない、力もないのにあるふりをして、表ズラだけを保っている。変化もないままで新年を迎えました。
 今年度は、昨年4月の総会の折、提案したびたび話し合いをつづけてきた、懸案事項である青葉の会法人化問題の総括の時で、その任務を担っていただいている役員の方、世話人の方、また会員一人一人の方に「青葉の会だからできる情報」「青葉の会でなければできない情報」を提供していける、新しい年2010年のスタートにできたらと願っています。